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産学官民交流事業

2023.09.19 第467回東三河産学官交流サロン

1.日 時

2023年9月19日(火) 18時00分~20時30分

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 5F ザ・グレイス

3.講師①

豊橋創造大学 経営学部経営学科 教授 鈴木 宏幸 氏

  テーマ

『デジタル時代とスタートアップでの人づくり』

  講師②

豊根村長 伊藤 浩亘 氏

  テーマ

『あいちのてっぺんの村づくり』

4.参加者

78名(オンライン参加 5名含む)

講演要旨①

 デジタルとスタートアップ。日々、この言葉が出て来ない日はない。そうは言っても、やるのは人間になるので、教育という切り口で整理して皆さまにお問いかけしたいと思う。
 人類誕生から2万年ぐらい経っているが、我々は現在、エポックメーキングの中にいる。世界のデータ量は2年ごとに倍増し、ハードウェアの性能は指数関数的に進化し、ディープラーニング等によりAI技術が非連続的に発展している。例えば、自動運転では東名や新東名高速道路でトラック無人隊列走行が当たり前に行われている。あるいは、オーエスジー株式会社は、新城市に最新鋭のスマートファクトリーを竣工され、「IoT」により無人でロボットが活躍している。また、大学の現場では「Chat GPT」が非常に大きな話題になり、教員は大変な思いをしている。教員は学会論文でChat GPTを使って効率的・効果的に研究を進められるが、今のZ世代の若い学生はChat GPTを使って課題や卒論をさわってくることになり、ある程度法律やルールで制御しながら指導していくというところに直面している。その他、ロボット(ダヴィンチ)を使ったがん手術など、世の中はいろいろ進んでいる。
 デジタル時代はあらゆるものがデータで繋がり、データで駆動化されるので、ビッグデータでいろいろ繋がっているものをどうコントロールし、どう活かしていくかということになる。豊橋市では、スマートシティへ向けた都市OS基盤について、地域としてどう取り組んでいくのか、まさにトップを交えた検討が進められている。今までにない新しい事業やビジネスが、デジタルイノベーションで続々と生まれてきている。これは整理すると、一番下のベースの部分にいろいろな技術があり、その上にアプリケーションがあり、アプリケーションを使っていろいろな産業や分野の方々が組み合わせをしながら、企業や生活者が使っているということになる。
 重要なポイントの一つは、デジタルの時代の特徴は、産業構造が大きく変化しているというところである。今までは業界が縦割りになっていたが、デジタル時代になると縦横でモジュールのように企業が発展・出店していくことになる。楽天は何屋さんなのか。商業モールをやっているネット上の流通のような気がするが、楽天損保、楽天西部、楽天証券など、何の業界なのか。Appleも同じであるが、ありとあらゆるところが業界横断でイノベーションビジネスが進展し、産業の垣根がなくなるというのが特徴である。そうすると、経営者あるいは企業は、産業の垣根を越えて事業を行うヒト・モノ・カネ・情報の流れを横断しながらこなしていくという人材が必要になる。この辺りが大きな課題である。
 スタートアップとは、経済産業省の定義によると、「新しいビジネスモデル」、「イノベーションを伴って短期間で飛躍的に進める」というところがポイントである。「スタートアップ」と「ベンチャー企業」の違いを授業で行うが、「ベンチャー」は和製英語で日本しか通用しない。アメリカの方では基本的には「ベンチャーキャピタル」(投資家)のことを意味している。少子高齢化の影響、失われた30年というところもあるが、G20諸国における「失敗脅威指数」と「起業計画率」を見ると、日本は「失敗したらどうしよう」という気持ちを非常に強く、「新しくイノベーションでスタートアップを起業しよう」というところも現状では極めて低くなっている。改めて、なぜスタートアップなのか。世の中は、スタートアップで新しいイノベーションが起こり、スタートアップするからこそ経済の新陳代謝が大きく起こり、そこでまたいろいろな融合、化学反応が起こって経済が成長していく。つまり、既存のものばかりがそのまま進んでも、経済が活性化され、融合化され、大きく成長するというのはスタートアップがないとなかなか難しいというところがある。米国はいわゆる「GAFA」であるが、新しいところはどんどん経済を新陳代謝し、また既存の事業や企業と化学反応を起こしながら経済を成長させていく。スタートアップを経済のイノベーション・活性化というところで、我々はドライバーとして取り組んでいかなければいけないと思っている。実際に「ユニコーン」と呼ばれる企業価値10億ドル超のスタートアップ企業は、日本ではなかなか難しい。私自身が専門的に研究を進めているのが「スタートアップエコシステム」というアメリカのシリコンバレーとか中国の深圳などにどうして世界中からいろんな人が集まってユニコーンが出るのに、なぜ日本はそこが難しいのか。日本でスタートアップ・イノベーションのエコシステムというのがどうしたらもう少し前に出るのかというのが、私が今研究しているテーマである。スタートアップを起業すると、雇用創出にもかなり大きな役割がある。日本政府はかなり巨額な補助金、強い政策を出し、スタートアップ庁を作るという話しもあり、いろいろなものが強力に動き始めている。スタートアップとして担うべき領域は、やはり「未知の領域に挑戦する」というのが狙うべき領域である。既存の大企業は引いてしまうところがあるが、アメリカの「GAFA」、シンガポール、マレーシアなどがどんどん進んでいるのは、やはり新しいイノベーションの領域に挑戦しているというところが顕著だということである。
 産業の縦割りが崩れて産業横断で新しいビジネスがデジタルで進展していく時代という形になると、業界の境界の領域が拡大していく中で、自分のところだけでそれに対応するのは困難である。オープンイノベーションは自社だけでやるのではなく、産学官連携、外とタイアップした共同開発、特許のライセンス購入、あるいは自分たちの事業領域でないものの売却など、出たり入ったりするようなオープンイノベーションは、日本はもっと前に出ていいのではないかと思っている。前職はNTTデータに勤めていたが、5年間程オープンイノベーションの事務局を担当した。いろいろな事例があり、失敗もたくさんあるが、成功して目覚ましいものもたくさん生まれている。例えば、株式会社マネーフォワードさんやfreee株式会社さんというクラウド会計システムを扱っている会社がエントリーされ、既に事業化されているが、個人向けインターネットバンキングサービス「Anser ParaSOL」がある。また、株式会社eiiconの「AUBA」というオープンイノベーションのプラットフォームがある。地域の中小企業と東京の大企業とのコラボなどの事例もあるので、是非一度覗いていただきたい。
 デジタルとスタートアップの代表的なビジネス例というところで、1つ目はデジタルのところはいわゆる「プラットフォーム」というビジネス、2つ目が「API(アプリケーションプログラミングインターフェース)」というアプリとアプリをつなぐことにより、新しいビジネスが生み出せるというものである。あと、有名なのがコマツ。アナログの製造業から全てをデジタルで繋いで、今や製造業からサービス業に業態をシフトされた。アナログからデジタルの事業にシフトしていく時には、O’Reillyという学者が提唱した「両利きの経営」というものが一つの経営戦略の理論としてある。これは、今既存でたっているものを進化しながら新しいビジネスを探索しつつ、それを上手に組み合わせやっていくという理論である。
 デジタルビジネスにおける身近な金融機関の例を紹介させていただく。豊川信用金庫さんは、積極的にデジタルビジネスを推進しており、スマホ決済サービス「Bank Pay」や「Pay Pay」、自社におけるインスタグラムの効果的な活用、コンサルティング業務の展開などを行っている。スタートアップの方は、メルカリ、ラクスルなどの代表的な企業がいくつかある。また、行政との連携実績のあるスタートアップも結構たくさんあり、是非、産学官金で連携しながら行えればと思っている。グーグルはグローバルで大成功したスタートアップ企業であるが、2つ目の経営理論としてRita Mcgrathという学者が「一時的競争優位」という理論を提唱している。これは、スタートアップして次から次へと競争優位になるような打ち手をどんどんデジタルで打ち出していく。アナログ時代のように既存のものをきちんと確立して長い時間で勝負していくというよりは、競争優位になるものを次から次へと上に乗せるような形で打ち出していって事業を成長させるというのが一つの成功のセオリーである。また、豊橋信用金庫さんは、中学生を対象とした早期起業家教育プログラム「TOYOHASHI STARTUP SCHOOL」を今年から始められ、豊橋創造大学鈴木ゼミ学生がティーチングアシスタントとして支援さえていただくことになっている。
 ここから、人・育成の話になるが、デジタル、デジタルと言っているが、DXはなかなかうまくいかない。攻めのDXなのか守りのDXなのか、業務を効率化するのか新しい商売を広めるのか、整理しながら取り組むのがポイントである。現実問題として、日本は本当にデジタル化が遅れているが、既存の足元が忙しい中で動けないということもある。IPA(情報処理推進機構)では、未踏事業という部分でデジタル人材育成を支援しているところもある。また、地域デジタル人材育成支援事業として巨額の政府予算が組まれ、都道府県ごとに受け皿となって行われている。デジタル研修の受講、デジタル人材の派遣などいろいろなコースがあるが、すべて「無料」で行われている。是非、興味のある方は参加していただきたい。
 スタートアップは、新しいものを新規事業として立ち上げること、今の既存の企業の中でイントラプレナーとして行うのも一つの立派なスタートアップであるが、意欲的に成長できる人、変化に柔軟に対応できる人、コミュニケーション能力が高い人、適応力がある人、経営者目線で仕事に取り組める人といった求められる人材像がある。また、既存のものを踏襲するのではなく、滑ったり転んだりしながらそれをやりきるところが求められるというのが特徴である。同じように、積み上げではなく、あるべき未来から逆算するバックキャスティング思考、あるいは失敗はあるが仮説して検証するということをアジャイルでやっていくことがスタートアップ人材に求められる。経済産業省では、スタートアップ向け経営人材支援事業を直接行うとともに、それをキャリア的に対企業、対個人に情報提供するメニューもある。また、AICHI-STARTUPは今まさにオープンを目指して準備中であり、東三河スタートアップ推進協議会も立ち上げられ、名古屋と連携して進められると伺っている。
 豊橋創造大学は2009年度から「SOZO起業塾」をリカレント教育として実施しており、既に100名以上の卒業生を輩出している。これからも産学官金連携で一緒に勉強させていただければと思う。私見だが、産学官金で一緒に連携しながら、とにかく「やってみること」が大事である。若い方にチャンスを与える人づくり、ベテランのリカレント・リスキリングなど、「行動する人は成功する人」という言葉どおり、デジタルもスタートアップも産学官金で連携しながらまずは動いてみることが大事である。

講演要旨②

 愛知県の最高峰は茶臼山で標高は1,416m、2番目は萩太郎山で標高は1,358mで、いずれも豊根村にあり、茶臼山高原スキー場、芝桜の丘などがある。私は、昭和35年に豊根村の三沢地区で生まれ、長野の大学を卒業後、昭和58年に豊根村役場に入庁し、35年間勤めさせていただいた。前半は土木関係の技術職を務め、後半は教育委員会を含めてすべての課を経験した。平成30年度から5年間副村長を務め、今年の4月の統一地方選挙において無投票で当選させていただいた。
 村づくりの理念としては、「小さな村だからこそできる密度の高い村づくり」を掲げている。昨年7月に人口は1,000人を割り込み、今後さまざまな場面でマイナスの影響が出てくると思うが、人口が少ないということは、住民一人当たりの予算は大きくなり、一人の住民に対する職員の密度も高くなる。住民一人ひとりに寄り添って村民を家族のように大切にするとともに、より手厚い行政サービスを提供し、“村民で良かった”と思ってもらえるような行政をしていきたい。
 豊根村は、愛知・長野・静岡の3県の境界が交わる位置にあり、良く言えばまさに三遠南信地域の中心部に位置しているが、実際は都市部から遠く離れており、飯田市まで1時間、豊橋市・浜松市まで1時間40分、名古屋市までは新東名を使って2時間の位置にある。
 村の概要は、愛知県に2つある村のひとつ(もうひとつは飛島村)であり、場所は長野県と静岡県に接する愛知県の北東端、標高は茶臼山(1,415m)から佐久間ダム(149m)まで標高差1,200m、面積は155.9㎢、人口は974人(R5.7末)で高齢化率50.1%、平均気温は13度で冷涼な気候、特産品はブルーベリー・トマト・木材・チョウザメ・アユ等で、過疎地域、山村振興地域等に指定されている。豊根村は1889(明治22)年に誕生し、今年で134年になる。この間、村では4つの大きな「波」が起こっている。1つ目は昭和20年代に起った「緊急開拓事業」であり、村の4分の1・約200世帯が豊橋へ移住。2つ目は昭和31年の「佐久間ダムの建設」であり、74世帯が水没した。3つ目は昭和48年の「新豊根ダムの建設」であり、75世帯が水没した。それから、4つ目は平成17年の「富山村との合併」であり、人口1,629人と愛知県で一番小規模な自治体となった。村の人口は、昭和30年まではほぼ5,000人規模の人口を維持していたが、2つのダム建設による移転と昭和30年代から始まった高度経済成長による都市への流出により、昭和30年から50年にかけての20年間で人口は58%も減少した。令和2年度国政調査では、東三河地域は豊川市を除く7市町村で人口が減少している。豊根村の人口ビジョンでは、今後取り組みを実施しない場合、少子高齢化傾向が今後も続き、2045年が455人(高齢化率62%)、2060年が263人(高齢化率59%)であるが、出生率向上対策(2040年までに出生率2.07を達成)・転出抑制・転入促進対策(毎年3家族(大人2名・子ども1名)の転入)を講じた場合は、2060年の豊根村の人口は900人程度を維持することができる。出生率向上のためには現役世代の子育てしやすい環境を創り上げること、転出抑制・転入促進対策としては仕事の確保と生活基盤の確保に取り組んでいく必要がある。村の予算は、歳出の特徴として、総務費に次いで「商工費」の割合が17.4%と高く、観光振興対策に取り組んでいることの表れである。また、歳入の特徴は、「自主財源」が32.9%と乏しく、地方交付税や補助金など国や県に大きく依存している。
 今日までの取組みであるが、第1次総合計画(昭和48~57年度)は「インフラの遅れ」に対する基盤整備、第2次総合計画(昭和58~平成2年度)は「経済の安定期」における心の豊かさ、人間性を大切にする環境の実現等を謳った。第3次総合計画(平成3~12年度)は「21世紀への展望」として21世紀の将来像「自然が友達 おらがの豊根」とし、自然を活かした個性ある村づくりを目指した。第4次総合計画(平成13~22年度)は「住民参加の推進」として住民と一緒になった村づくりを推進した。また、平成17年の「豊根村・富山村」の合併では、「新村建設計画」(平成17年~19年度)として、両村の一本化の醸成、両村の総合計画尊重を目指した。第5次総合計画(平成20~29年)は「合併後の新しい村「みんなで豊根おこし」」を掲げ、環境づくり、支え合い、村おこし、人づくりに取り組んできた。そして、現在進行中の第6次総合計画(2023年~2027年度)は「豊かに根ざす村」として、【将来目標1】自然が仕事になる豊根村(多様な働き方の提案〈しごと〉)、【将来目標2】住んでみて!豊根村(温かい心でU・Iターン者を迎え入れる〈ひと〉)、【将来目標3】みんなが幸せになる豊根村(みんなが安心して暮らせるために〈くらし〉)を定め、村民の行動指針と行政施策が車の両輪のように展開し、お互いに刺激し合いながら計画実現に向かうというものである。豊根村まち・ひと・しごと創生総合戦略では、まち・ひと・しごとの好循環を図りながら、目標1「地域資源を活かし村民が稼げる村をつくる」、目標2「地域ぐるみで人を迎え入れる」、目標3「現役世代をしっかり応援」、目標4「みんなが安心して暮らせる村をつくる」に取り組んだ。事例としては、産地化事業として「チョウザメ養殖」、施設整備事業として「地域住宅」、「にぎわい拠点」の整備、福祉政策として「がんばらマイカー事業(足の確保)」、「子育て世代応援」がある。
 観光交流アクションプラン、目指せ!「観光交流人口100万人」については、平成26年12月に策定し、平成32年に観光交流人口100万人を目指してきたが、コロナ前に80万人に達したものの、新型コロナの蔓延で令和2年度は37万人、令和3年度は40万人まで半減してしまった。令和4年度は少し持ち直して56万人まで回復している。豊根村の観光には、茶臼山ばかりにお客さんが集まる、季節により集客に差が出るなどの問題点があるが、チャンスとして令和7年度には三遠南信道路が東栄インターまで開通し、リニア中央新幹線がさらに開通すると、東京から2時間で来られるようになる。将来に大きな可能性を持っている地域であり、今から観光の魅力に取り込んでいかなければならないと思っている。100万人達成のための3つの基本的な考え方は、閑散期をなくすこと、お客様にもう一カ所寄ってもらうこと、たくさんの人が集まる新しい魅力を創造していくことである。村民による「みんなが考えた100万人にするためのアクションプラン」は、既に全体の6割に着手している。観光アクションプランの取組事例としては、四季を通した魅力向上として、春の芝桜のライトアップ、夏のリフト下へのサンパチェンスの植栽、7月から10月まで萩太郎山山頂の魅力化に取り組んだ。秋には矢筈池周辺の紅葉のライトアップ、冬には「スキー」を楽しんでいただき、山の日の「ランバイク大会」、秋の「いも煮会」、通年の「星空観察会」など、魅力向上に取り組んでいる。
 豊根村は長野県と境を接しており、隣接する長野県の4町村(阿南町・売木村・天龍村・羽根村)と「愛知長野県境域開発協議会」を立ち上げ、道路要望、産業振興、住民交流に一緒になって取り組んでいる。観光の取組みとして、観光地を巡る「スタンプラリー」を共同で実施している。観光アクションプランの広域的な取組みとして、「奥三河パワートレイル」を市町村連携で開催している。今年は10月1日(日)に開催予定で、茶臼山高原をスタートし、新城市ふれあいパークほうらいまでの70㎞、標高差4,000mを制限時間14時間30分以内で走破していただく過酷なレースである。昨年度は704名がエントリーし、完走率が55.7%だった。また、第15回となる「とよね・みどり湖ハーフマラソン大会」は、今年は11月5日(日)に開催予定である。募集人数は1,000人だが、今日までに740名の参加申込みがある。
 最後に、第6次総合計画の3つの目標について、これから力を入れて取り組んでいく内容を紹介する。
 『多様な働き方の提案(しごと)』としては、地域資源活用として、チョウザメとキャビアの生産サイクルが出来上がったので、今後は養殖者を増やして村内で生産を拡大するとともに、飲食店での提供メニューの開発と特産品としての販路拡大に努める。ブルーベリーも実を出荷するだけではなく、加工品としての村外提供や特産品としての販売拡大に努める。また、地域おこし協力隊が2年前からアンガス牛の飼育を行っている。柔らかい赤身の肉が特徴であり、村内で提供できるように飲食店、民宿経営を検討しており、村としても応援していく。
 『定住移住対策(ひと)』としては、内部人材は伝統芸能、仕事、食文化などの達人を掘り起こすとともに、集落支援制度を活用した地域課題の解決を支援する。また、外部人材は関係・交流人口の拡大、協力隊の活用による地域おこしに努めていく。U・Iターンなどの人材確保として、役場職員も貴重な受入先となっている。村外の優秀な人材が豊根村役場に就職してくれるので、大変有難く感じている。役場職員の募集案内に、Iターン職員の体験を記載することで、新たなIターン職員の勧誘につながっている。外部人材の活用事例として、官民学連携で「いただきファーム」という田んぼオーナー制度を実施している。主催者はSUDAY FOKL PROMOTIONというイベント会社で、一般募集するほかに愛知大学の地域連携事業として、学生さんが参加している。
 『みんなが安心して暮らせる村(くらし)づくり』の取り組みとして、子育て支援の拡充、時代に対応したICT教育、母子手帳アプリ導入などのデジタル化に取り組んでいく。買い物弱者対策としては「おつかいポンタ便」の利用拡大に努める一方、「ライフサポートローソン」の研究を始めた。
 愛知・長野県境域が抱えている問題として、三遠南信自動車道の開通により、国道151号沿線がストロー現象によって空洞化してしまうのではないかという懸念があるため、県境域開発協議会では今年度から空洞化を避けるための共通のビジョン策定に取り組んでいる。長野県南部には中央自動車道が通り、この先リニア中央新幹線の計画もある。また、東三河南部には東名・新東名高速道路、東海道新幹線が既にある。この2つの大動脈をバイパスするのが三遠南信自動車道であり、国道151号である。三遠南信地域の真ん中に位置するのが豊根村であり、このダブルネットワークをうまく活用することにより、安心して暮らせる村づくり、希望の持てる村づくり、持続する村づくりにつなげていきたい。
 愛知のてっぺんに多くの人の流れを創り出すことにより、「しごと・ひと・まち」への好循環へ繋がり、村はもとより周辺地域への経済波及効果も期待される。これからも、持続する村づくりに対して、ご支援ご協力をお願いしたい。