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産学官民交流事業

2025.02.07 第249回東三河午さん交流会

 

1.日 時

2025年2月7日(金)11:30~13:00

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 4階 ザ・テラスルーム

3.講 師

奥三河公式PR大使・動画クリエイター 岸 かなえ 氏

  テーマ

『ライダーの特性と地域の魅力を活かした地域活性化、その為のSNS活用方法』

4.参加人数

34名

講演要旨 
 私は新城市出身で、現在は名古屋市に住んでおり、バイクの仕事が好きということもあってコロナ禍をきっかけに会社を退職し、フリーランスでバイク業界の仕事をしている。SNSのフォロワー数が8万人以上いてそちらを活用したり、ブランド運営企業とコラボして商品を販売したり、雑誌に記事を書いて撮影したりといった活動をしている。2023年の5月に奥三河公式PR大使に委嘱をしていただいて、ライダー目線で地域の魅力を発信しているが、実は自分の力だけでは拡がりに限界があると感じていたため、企画書を作って私の活動を何回も説明して正式に委嘱いただいたことにより環境が大きく変わった。
 ここでバイクライフの楽しさを少しお伝えする。私は全国にバイクで10日間ぐらいの旅をしている。1人でフェリーに乗って、昨年は東北・九州・四国へツーリングに出かけた。大きなバッグに、撮影機材とパソコンと1週間の宿泊に必要なもの積めて旅をしている。1人なので、三脚を立ててタイマーで写真を撮影していて、写真を通じてこの楽しさを誰かが見ていることを常に意識している。ライダーはそれぞれ1人で走っているように見えるが、実はSNS上でかなりつながっている。ライダーの特徴として、情報発信が好き、素敵な場所を皆さんと共有したいという思いが強いという特徴がある。皆さんは「ライダーハウス」をご存じだろうか。バイク専用の宿であるが、そこに泊まるメリットはその土地の魅力を、宿のオーナーに教えてもらえることである。SNSで調べても、今の時代は情報があふれていて何を見たら良いか判らなくなるため、現地の人に聞くのが最も確実である。また廻りに旅人が揃っていて、旅の情報の宝庫である。「日本ライハ連合」というライダーハウスオーナーの参加する組織があり、私も加盟している。これは「ライダーハウスの魅力を伝えよう、バイク乗りの楽しさを伝えよう、旅人を歓迎しよう」というオーナーが集まった組織であり、年に2回程全国どこかの宿で集まりがあり、私も参加していろいろ学んでいる。
 私の活動の紹介であるが、「かなえADV海外ツーリングツアー企画」を旅行会社とタイアップして実施している。イタリアツーリングはベスパを借りて実施したが、イタリア人は集団でツーリングをするという習慣がなく、日本人がベスパでツーリングをしているというだけで写真を撮られたりした。どこにも教会があり、また教会の中に道があってカフェがあるというイタリアの街において、観光地では体験できない現地の日常が観られるのがバイクの魅力である。2023年の11月、第1回としてネパールツーリングを実施し、昨年11月は私がインドに行きたくて、旅行会社に依頼して企画した8日間のインドツーリングツアーは、燃料サーチャージ合わせると60万円ぐらいの金額であったが、何と1日で定員が埋まった。なぜ1日で埋まるかと言うと、募集開始日に焦点を合わせて、3週間前ぐらいから写真を小出しにしている。「こういうことが楽しかった」、「こんな魅力がある」とわざとらしくなく発信し、2週間前になったら週に3回、1週間前からは週に4回と興味がありそうな方に向けた発信を行い、募集開始当日に動画を配信し、「今から募集します」と告知すると、24時間以内に予約が埋まる状況である。今年は今月バリ島、5月にウズベキスタン、11月にインドで開催を予定しており全部満員となっていて、現在は来年の予定を組んでいる。
 また、「MotoSmile」というブランドを立ち上げ、バイクライフの楽しみを皆さんと共有したいというテーマで活動していて、そのコンセプトに沿った商品を販売している。例えば「FUN RIDE」という商品は、コーヒー店とコラボして、「バイクに乗る前にこんなコーヒー飲んでください」というテーマで商品を作っている。
 グリーンツーリズムについても、新城市の地域ガイドの講座に参加して、地域のガイドとしても活動したいと思い、インストラクターの資格を取得した。第1回目は、丸山荘鳳来寺山頂店とコラボして、「新城の魅力をライダーと巡ろう」というツアーを企画した。とても好評で、こうした少人数で地元を知るツアーをもっと開催してほしいという声も多くあり、今年はもう回数を増やして実施したいと考えている。
 他に、バイク業界関連としては、「モーターサイクルショー」というバイクのイベントがあるが、そこではトークショーに参加した。また、知多半島と一宮市にあるライダーの立ち寄りスポットにプロデュースという形で関わっており、看板のモデルも務めている。なぜこの看板があるかというと、私の発信だけでは限界があるが、ライダーにインフルエンサーになってもらい、ここで写真を撮って、「#バイカーズオアシス」、「#モトスマイル」と皆さんが投稿してくれることで、このスポットが次第に周知されて多くの人が立ち寄ってくれるようになった。この企画は企業とのコラボで、現在も継続している。
 奥三河の公式PR大使という名前をいただいたことで、行政の方や地域の方と関わる機会があり、新城市の小さな集落でライダーの拠点となるイベントをやりたいということでスタートさせたが、最初に地域の方の集会に参加した時に、「どうしてここなのだ。ここではなくても良いだろう。」と10人中9人ぐらいの方から言われ、バイク乗りのイメージは一般の人にとってこのような感じというのを感じてショックを受けた。それは当たり前の反応で、私もバイクに乗っていない時は、バイクの音は騒音でしかなく、その魅力を知るきっかけさえなかった。ライダーの魅力を知っている仲間を集めて地域の方と焼き芋大会を開催したが、実際にやってみると地域の方と一緒に芋を洗ったり、子どもたちと交流したり、ライダー仲間だけではなくて、地域の方と一緒に楽しむことでより拡がりが持てることを教えていただいた。
 全国の視点から見て奥三河をピックアップすると観光客は増えているが、宿泊する場所が少ないことが気になっていた。実際に私がイベントを開催する時にも、泊まれる場所がどこかあるかという問い合わせが非常に多く、奥三河のイベントであるが豊川や豊橋で宿泊して、当日少し距離を走って来場してもらうことも多かった。
 ライダーは、公共交通機関がない場所にも走っていけて、発信力がすごい。私同様に1人でも伝えたい気持ちが強く、皆さんハッシュタグをつけて発信している。また、ライダーは、想像がつかないかもしれないがコミュニティ力がある。例えば、石川県の輪島市は「ライダーを笑顔で歓迎する都市」の宣言をしている。SSTRというバイクのラリーイベントがあるが、震災の直後に関わらず、参加費用16,000円で全国から14,000人以上がエントリーして能登半島に訪れた。ライダーは能登の復興も実際に足を運んで応援したいという気持ちの方が多い。私もこのSSTRのゴール地点に行き、全国のライダー、地元の方と一緒にゴールするライダーを出迎えた。
 人が集まる旅の交差点を私自身が作りたいと思い活動してきた。ライダーのコミュニティと拠点の2つを作ることで地域の課題に向き合えるのではないかと考えていた。私は会社を退職する時もそうであったが、どうしようと言葉にするのに1年ぐらいかかっていた。今回も一緒で、「実は私は拠点を作りたい、コミュニティを作りたい」というのを3年ぐらい前から考えていたが、やっと最近声に出せるようになった。実際に「拠点を作りたい」と言葉に出すと、驚くぐらい応援してくれる方がいて、本当にありがたく思っている。私には奥三河をライダー歓迎の地域にしたいという夢がある。ライダーの魅力と地域の魅力を掛け合わせると、地域にとって大きなメリットがあると感じており、それを伝える活動をしていると思っていて、その発信者が私のフォロワーや、私を応援してくれているライダーの仲間という認識であり、仲間作りは、私が目標にしている、掲げていることへの賛同者を増やしているっていう意識でいる。私の短い人生で、生きる場所もできることも限られているが、どこかに同じ想いの人がきっといるだろうと考え、皆でやりませんかと仲間づくりをしている。
 地域の交流イベントとして、ライダーと地域の方と企業でイベントを継続したいと思っている。4月20日には、茶臼山高原で5回目になる「奥三河のおもてなしミーティング」を開催する。参加者のほとんどはライダーであるが、歓迎するメンバーは地元の方であったり、ライダーのボランティアだったりするため、バイク業界の方とも一緒に開催したいと思っている。この「奥三河のおもてなしミーティング」も、当初は多くの課題があった。例えば開催場所であったりするが、一番大きい課題は、先ほども話をした地域の方にライダーが本当に歓迎されているのかという不安感の払拭であった。小さなイベントであるが、5回、6回と継続すると、ライダーが来て地域の飲食店使ってお金落としていく、知らない間にSNSで地域の店のことが発信されてライダーが集まっているなど少しずつ認知され、ライダーが歓迎される町になっていくのではないか感じている。ライダーの拠点があることでライダーが奥三河に来て、奥三河を周遊し、全国へコミュニティが拡大して、同時に「カナエADV」のブランド価値が向上するサイクルを実現できたらと思う。
 活動紹介になるが、豊田市の足助香嵐渓前の駐車場で、ライダーが観光と同時に清掃活動するイベントを開催した。これは「バイク東海クリーン部」というが、こちらも場所の確保が難しい。バイクが集まって掃除したいと言っても、バイクが集まれる場所が少ない。香嵐渓の閑散期におけるイベントの最終日でゴミも落ちているかもしれない、という良いタイミングをいただき、寒い時であったが、何百台かバイクが集まった。どうしてこのように寒い中、ライダーが集まるのかというのは、バイクに乗っていない方は疑問に思うかもしれないが、ライダーは自分たちが拒否されているのをある程度感じている。それでも自分たちの魅力を伝えたい、バイクの楽しさを伝えたいという思いが本当に強いので、こうしてボランティアとして皆さん参加してくれる。自分たちの遊ぶ場が増えたら、次の世代のバイク乗りの遊び場が増えたら良いということで、観光地でお金を落として清掃活動して、それを発信してくれる仲間たちが増えている。ライダーと地域の方の交流は、人数ではないと思う。小規模でも構わないので少しの交流があることで来てくれるライダーには、女性も若者も多く全然怖くないということが伝わったら良いと思っている。
 「奥三河のおもてなしミーティング」では、地元の飲食店や企業に出展していただいているが、実はこのイベントは3時間で終了する。なぜ3時間で終わるのかというと、その後は「地域を周遊してください」、「このイベントを通して知った場所に皆さん足を運んでください」という意図がある。「ここで集まって皆で交流して、この地域の魅力を探しに行ってください」と発信しているので、皆さんそれを理解してこのイベントに参加していて、地域交流を楽しんでいる。
 また私は実施計画として、今年拠点を決めて来年ゲストハウスをオープンし、仲間を増やそうという目標を立てている。私の仕事であるインフルエンサーの活動として現在一番の収益源は、企業から動画制作の依頼を受けて制作を行い、自分のYouTubeに投稿することである。私には、インスタグラムは3万人ぐらいのフォロワーがいるが、3万部チラシを印刷するのであれば、特定の人物に向けて集客でき、広告できるという意味において、私のSNS自体が売り場だと考えており、その売り場を使って集客していくことに注力しているので、本当に考えて、投稿の時間・タイミング・内容を決めている。インフルエンサーと呼ばれる方は、皆それを深く考えて投稿していると思っている。
 実は新しいことが動き出している最中で、先ほど話をしたライダーの拠点を作りたいということで、2月1日新城市に空き家を借りた。初めてのことも多く、許可や空き家のことを勉強している最中である。大工の方に点検してもらい、修繕が必要な個所の洗い出しと見積もりをお願いしている状況であるが、クラウドファンディングはしないと決めていて、別の形で同じように応援してもらえるスキームを整え進めていこうと考えている。
 2月1日に拠点を借りたのと同時に、「JoyRiders」という全国を拡がるコミュニティを作った。ここでは「地域とライダーの魅力を伝えたい、バイクライフの楽しみを皆さんと共有したい、同じ想いを持った人に参加してください」と呼びかけている。最初の2日間で200人ぐらいが入ってくれて、今まで見えていなかった人たちも含めて、現在400人がこのコミュニティを拡げてくれる仲間になっている。大きな目標であるが、奥三河を「ライダーの里奥三河」として、ライダーを笑顔で歓迎する都市宣言のような形で表明し、「JoyRiders」として想いが同じ仲間を増やして拠点を作り、ライダーの力で地域の課題に向き合うことを目標にしている。ライダーも地域もいろいろな課題を持っていて、私自身もまだまだ勉強不足ではあるが、「一緒に成長していきましょう」と話している。ライダーには、多くの経験をされた時間に余裕があるベテランライダーもいるので、そうした方たちにいろいろ教えていただき、若い方からはアイデアをいただいている。
 「どうしてそんなに頑張るのか」と言われることがあるが、私の想いの根源は、「バイクとライダーと地元が大好き」、「地域貢献できる仕事がしたい」、「同じ思いの人を応援したい」、「仲間と笑って過ごしたい」というバイクが好きという気持ちから始まり今に至っている。「JoyRiders」のメンバーで、これから地域の課題解決に向き合い、それ自体を楽しんでいこうというのが私の取組である。コミュニティの運営にも課題はいろいろあるが、全員で意見を出し合いひとつの答えを出すのではなく、全員で意見を出し合いひとつの課題に立ち向かうことを意識している。皆さんに答えはこれだと押し付けるのではなく、皆さんの環境や、バイクもさまざまで、好きなバイクも乗り方も全員違うが、「想いだけは一緒」だからここにいる。「JoyRiders」として大きな課題に意見を出し合い、仲間とともに立ち向かいながら、自分たちのバイクライフも楽しくしよう、こうした仲間を増やしていこうという活動がスタートしたところである。