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産学官民交流事業

2021.09.03 第215回東三河午さん交流会

1.日 時

2021年9月3日(金)11:30~12:30

2.場 所

ホテルアークリッシュ豊橋 5階 ザ・グレイス

3.講 師

SATOYAMA搾油所 永田 雅信 氏

 ◎テーマ

『椿油から考える小さな自給と大きな安心』

4.参加者

27名

講演要旨

「小さな自給・大きな安心。椿油から地域を考える」ということで、自分たちが出来る範囲で運動を展開してきた。
椿油の原料は「国産100%」であり、国内で十分に賄える。生産量は約5万トンであり、産地(長崎県五島列島、伊豆諸島など)が少なく、市場への流通も少ない。植物油の原料の大半は、輸入ものである。
田原市は、農業出荷額は全国一であるが、高齢化や担い手不足などにより耕作放棄施設が増えている。椿は、施設不要、無肥料・無農薬・耕起不要であるが、幼木時期の草刈りは必要である。現在の農業は、工業的農業と施設工場と化している。確かに収入は多いが、多額の投資が必要となるなどの負の部分も多い。
椿の根は直根が発達しているので、台風など風水害に強く、栽培は比較的容易である。また、常緑樹で葉が厚く、潮風にも強いので、海岸付近や屋敷の防風林の役割も果たす。
10年以上の椿林では1本から5㎏程度収穫でき、椿油に換算すると、概算取り扱い価格は約15,000円となる。現在、椿苗を1.5反に100本植えて3年経過しているが、まだ実の収穫はなく、公表できる数値はない。
「SATOYAMA生搾り椿油」は、溶剤、加熱等はせず、加圧だけで搾っている。用途としては、化粧品、料理、革製品、白木塗布、潤滑油等がある。作り方は、①採取後、ゴミ・虫食い・異物を除去し、20日間程度天日乾燥させる。②保存はビニール袋を使わず、網袋に入れる。③3㎏を搾油用の袋に入れ、搾油装置にセットする。④100tの圧力で油を搾りだす。⑤2週間程度静置し、上澄みを利用する。⑥活性炭でろ過すると透明度がアップする。搾油を始めた2010年購入の搾油機(搾実量300g/回)の搾油量に限界を感じ、2016年にサン精機の搾油装置(搾実量3㎏/回)を購入し、効率化を図った。椿油は、オレイン酸(過酸化脂質を抑える機能)がオリーブ油よりも10%多く、体にも非常に良い。
私の希望は、放棄施設・放棄地の活用である。見た目に悪い施設を片付けて椿の植林と菜の花畑にすることで「景観が良くなる」、宅地に変更、田園、菜園付き住宅地として適正価格で販売することで「暮らしの質を向上させる」、都市住民の週末住宅、おしゃれな小屋と菜園の整備(長期賃貸、キャンプ式、クラインガルテン式)することで「近場で小さな自給を可能とさせる」であるが、いずれも農地法はじめ法の壁が厚く、真剣に考えてくれる関係機関・個人を切に望んでいる。
20年余の経験から思うことは、ものごとの見方を変えることが必要ということ。農村は食糧生産の場と同時に農村の景観は公共の財産である、田んぼはダムの役割を果たしている、荒山の手入れで洪水が防げる、都市住民の週末農業は健康、教育、災害への備えなどにつながる、「農村計画法」というものがあっても良いのではないか、など。
我が家の自給作物は、米・麦・サツマイモ・砂糖キビシロップ・椿油である。田んぼ、畑の耕作、椿の植樹など、興味のある人、条件のある人は、始めてみましょう。「自分が主人公、小さな自給・大きな安心」。