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その他の事業

2022.04.21 第6回東三河グローアップミーティング

1.開催日時

2022年 4月21日(木)18時00分~20時00分

2.開催場所

ホテルアークリッシュ豊橋 5階 ザ・グレイス

3.講 師

一級建築士事務所 建築クロノ 代表/大豊商店街(大豊協同組合)代表理事
黒野 有一郎 氏

  テーマ

「これからの “商環境” を商店街から考える」

4.参加者

33名(オンライン参加 4名含む)

講演要旨

 私は1967年(昭和42年)の「未年」生まれで豊橋出身。前年が子作りを控えた「丙午」の年であったこともあり、子どもが多い世代であった。地元の松山小、中部中を出て高校に進み、大学進学により上京。当時はバブルの時代であり、ゼネコンや建築事務所などで模型製作などのアルバイトをやっていた。人手が足りない状況だったので、アルバイト代は健全な金額をもらっていた。フリーターとして2年間過ごしたが、人手が足りないこともあり、朝から夕方まで働き、夜から2件目のアルバイト先で働くこともあった。建築事務所では、大卒の28歳位の社員が一人で大きなクライアントの仕事を担当している状況を目の当たりにした。この経験から、「労働の対価はしっかりいただくこと」、「若い人の意見はしっかり聞くこと」が大事であることを学んだ。これは自分の中で良い経験として残っている。
 2003年(平成15年)は、10年間勤務した野沢正光建築工房を退所し、18年余りを過ごした東京を離れ、故郷の豊橋へ帰ることを決めた年である。インターネット環境が良くなったことで東京にいることの意味が薄れたと感じたこと、長男として両親のことが気になり始めたこと、一人娘を東京で育てるには経済面の見通しが不安であったことなどの理由で、地元豊橋に帰ることにした。恩師である野沢さんに「故郷に帰ります」と告げて退所をお願いしたとき、「君はリージョンを持つことになるな!」と言われ、「地域に根ざすこと」が、「新しい建築家のあり方をつくっていくかも知れないな!」と言っていただき、私の心に響いた。
 2003年に豊橋西武百貨店が撤退し、地元の友人や兄弟などから「これでまちなかは本当に終わった」という声が多く聞かれたが、そう思わない人たちもいた。サーラさんをはじめ、“西武の跡で新しいことがはじまる”と漠然とした期待を持って、このエリアに目を向けてくれた人たちがいたことが、その後に続く活動の礎になっている。都市型アートイベント「sebone(せぼね)」は、有志メンバー5名が行政や既存の団体に頼らず、水路や鉄道などの交差する「駅南」エリアは新しい人の流れをつくる場所に変えられると企画したイベントであり、水上ビルを「まちなかの背骨」と見立てて、「背骨がしっかりしていれば、しゃんと立てる」という、まちなかへのメッセージを込めて2004年に始まった。彼らが始めたこのアートによるまちづくりの取り組みに私が賛同できたのは、アートがまちにできることのひとつが「その場所への気付き」であると思えたからである。愛知トリエンナーレの豊橋会場では、かつての開発ビルなどの空きスペースや空き店舗を使って、そこにアートを飾った。「いつもの場所に今日はアートがあることで、その場所がいつもと違って感じる」。これは「その場所」が実は「自分の大切なものであること」に気付くことではないかと思う。
 大豊商店街50周年記念事業の一環として、「雨の日商店街」を2015年に初めて開催した。雨でも安心なアーケードの強みを生かし、梅雨時の6月に空き店舗や軒下を開放して、アンティークやカフェなど多くの出店者がお店を開くものである。水上ビルは3階建の長屋であり、1階は空き店舗であっても自分の家である。このイベントは、店を閉じている大家さんと空き店舗に出店したい方とのお互いの体験マッチングの場となっており、「新しいお店にしたらこうなる。」という新しい「場所」の発見に繋がっている。これはすごく大事なことである。貴重な社会資本として、いかに発見させ、これをどう活用するかが今後の大きなテーマである。水上ビルは今後10年間で寿命を迎える。空き家にするか、活用するか。まちの重要な要素であり、商環境をどう作っていくかを考える必要がある。
「まちづくり」という言葉よりも、「商環境づくり」が適当な表現である。歩道の整備や緑化など、買い物の良好な環境をきちんと整えることが大切である。現在は、車社会が作った商環境となっている。「車」はプライベート、「電車・バス」はパブリック。公共交通を利用する場合、きちんとした服装で緊張しながら来る。まちなかはこれが強いられており、車をとめて歩いてもらえる環境をつくる必要がある。楽しく歩いて3~4件立ち寄れる店をつくる。大豊商店街は少し活気づいてきた。「車ではなく、歩いてきてもらう。」と店主は自信を持って言っている。
 最後に、ボランティア活動や地域活動など、自分の職業ではないことを一生懸命やることは、自分自身の成長に繋がる。これがやがて自分のメインの仕事になるかもしれない。お金ではない。私は率先して取り組んでいる。視野が広がり、自分を必ず成長させてくれる。

※講演終了後、「何かと何かの間に挟まれているもの」についてトークイベンを企画することになった場合、どのようなテーマ設定するかについてグループ討議が行われ、各グループの代表者から結果が発表された。
【結果】
「本音と建前」、「上の筋肉と下の筋肉」、「東京と大阪」、「東日本と西日本」、「本社と営業所」、「上司と部下」、「成人と未成年」、「親と子」、「宴会をしたい人としたくない人」、「夢と現実」、「嫁と姑」、「本社と営業所」、「男と女」、「金持ちと貧乏」、「生と死」、「パンとパン」、「過去と未来」など。⇒これらの「間」に関与している方々をトークイベントに招聘する。

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