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会員サービス事業

2023.07.13 2022年度東三河地域問題セミナー 第2回公開講座

1.開催日時

2023年7月13日(木)14時00分~16時30分

2.開催場所

豊橋商工会議所 4階 406会議室

3.講師①

名古屋大学 減災連携研究センター 客員教授/日本気象協会 事業本部 参与 新井 伸夫 氏

  テーマ

「巨大地震からの早期復旧をどう実現するか?」

  講師②

明海地区防災連絡協議会 会長/株式会社デンソー 豊橋製作所 所長 阿部 守一氏

  テーマ

「明海地区における企業の防災連携」

5.参加者

60名

【講演要旨①】

被災した状態から復旧する、復興するということはどういうことかというと、地域がそもそも持っていた社会活動・社会経済活動が全てにわたってストレスなく行われるようになるということである。支援物資が届くようになって、ご飯が食べられる、排せつ行為もできる、お風呂にも入れる、それが復旧かというと、そんなことは全くない。そこで行われていた活動が元に戻ってきて、ある程度できるようになるのが復旧ということであり、平たくいうとそのポイントは、地域の中でお金が回るようになるということである。

復旧を早期に実現するためには、「今現在どういう経済活動が行われているのか。そのためには、どういうところが重要でどこに拠点があってどの道路が重要、あるいはどの水道路線が重要で早く元に戻さないといけないのか」ということを地域で共有をした上で、作業をしていくことが重要である。しかし、現在多くの防災計画は、発災直後の最低限の生活確保という部分に特化しすぎていると感じており、もう少し地域の経済活動に配慮した計画を検討すべきである。

また、行政間、企業間の連携だけでなく、いろいろな階層、フィールドに縦と横の串を入れて連携することが重要である。社会経済活動には多くの要素があり、活動を支えるリソースもさまざまであるため、その情報を共有することが地域社会のスピード感を持った復旧には必須だと思っている。

復旧・復興というのは、地域のさまざまな社会経済活動が達成されてこそのものであるが、今そのような議論が十分なされていない現実がある。自治体の連携も十分とはいえないし、社会経済活動を支える主体が関わっているか、積極的に関与できているかというと、決してそうではない。こうした認識を共有し、自分たちにとってここが大事、実際ここが倒れると大変であるといった情報共有と、それをベースにした議論をスタートさせるべきと考える。  (公社)東三河地域研究センターが核になり、新しいプロジェクトという大げさなものではないかもしれないが、こうした場を定期的に作って、多様な視点のもとに検討し、それに基づいて取組がされることが早期の復旧につながり、活動を通して、地域全体が賢くなるということにつながっていく。

 

【講演要旨②】

明海地区は南海トラフを震源地とするような大規模地震が発生した際、陸の孤島になり得る場所であり、帰宅困難者の長期化、公助の大幅な遅れなどが危惧される。大規模な地震だけではなく、風水害の発生等により、長期間の事業の停止、供給分断など、想定したリスクに対しても、明海地区防災連絡協議会が活動の決定機関として、個社の底上げ、行政への意見具申などをおこなうことにより、地域の防災連携を推進してきた。

活動の基本方針は、各企業の防災・減災(自助)を土台とし、地域が連携・補完(共助)することで「地災地消」を図るとし、従業員の安心・安全な職場環境を確保し、大規模災害後の早期復旧により、地域経済の損失の最小化を図っている。

具体的には、
1.「死亡者ゼロ」に向けた重篤患者に対する迅速な処置環境の整備”
2.災害発生時「安心安全の担保」および「迅速な事業復旧」に向けた情報交換体制の整備
3.発災後の「復旧作業軽減・回避」に向けた事前のインフラ整備推進
4.「各企業の防災力向上」に向けた諸施策実施
以上4つの目標を掲げて活動を展開している。

現在最も力を入れているのがガイドラインおよびアクションプランの策定と実行になる。策定の背景は、持続的可能な企業連携防災を目指し、「事業環境の変化」や「企業担当者の異動」によって当活動やその理解が途切れることがあってはならないと考えたためである。

22年度は、このガイドラインに謳った31の取組事項について活動を進めるとともに、内容をより具体化したアクションプランの策定に取り組んだ。簡単に、ガイドラインとアクションプランの関係を整理すると、ガイドラインは、各企業の認識あるいは足並みを揃えることを主眼においており、4つの活動の柱と、全31の項目を詳細に定義している。それを受けたアクションプランは、各取組項目の目指すところ、視点を定めることに主眼をおいて、「概要」「取組内容」「年度別実施計画」を定めている。

しかし、明海地区ではさまざまな業種業態の企業が操業し、防災連絡協議会のメンバーも90社を超えて、大変難しい側面があるともいえる。そこで関係構築を目的に、全94の事業所を8つのブロックに分けて当活動を協力して進めていく体制を整えていくこととした。本年9月7日に予定する明海地区の総合防災訓練では、津波避難や被害状況の集約にあたって、こうしたブロック単位で迅速に実施できるかどうか有効性の検証をおこなう。

これまで積み上げてきた経験と実績をいかし、日々考え行動し続け、従業員の人命と事業を守っていかなければならないと考えている。

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