2024.06.26 第25期報告総会・記念講演会 1.開催日時 2024年6月26日(水)13時00分~15時00分 2.開催場所 豊橋商工会議所 4階 508会議室 3.講 師 一般社団法人日本EVクラブ 代表理事/自動車評論家 舘内 端 氏 テ ー マ 「EV時代到来、ほんとうにEVでいいのか?」 4.参加者 48名 開催案内(ダウンロード) 講演要旨 【CO2を増大させた移動の進化・発展・拡大】 エンジン車の登場は1886年で、ダイムラーが発明した。1908年にT型フォードが発表され、これが大成功を収める。発表から19年間、ほぼアメリカ市場のみで1,500万台も販売された。これを見てGMが対フォード戦略として考えたのが、モデルとバリエーションを増やしていき、飽きさせようとモデルチェンジを繰り返すやり方である。この戦略で売れていたT型フォードを駆逐した。GMはもうひとつのラインで車を移動させながら組み立てるというフォードの大量生産方式の真似をした。これによりGMは大成功を収めたが、そのゆえに何が起きたかと言うと大気汚染とエネルギー問題である。この2つが今も自動車に迫っていて、解決のためには燃料エネルギーを変えなければならない。 【世界のEVの普及状況】 世界のEVの普及率はPHEVも含めて14%であり着実に伸びている。新車販売台数のEV比率が高いのは北欧でノルウェー88%、スウェーデン54%、デンマーク39%、フィンランド38%となっている。2050年、国連に加盟している国の規定はCO2排出量ゼロであるから、これを守れなかったら日本は大変になり、日本製の商品が売れなくなる。大変な政治的、経済的、道徳的問題になるため、いつまでもエンジンを積んだ自動車が走れるわけではない。各国のEV販売台数はドイツ83万台、イギリス37万台、フランス33万台、アメリカ99万台、日本は10万台であるが、EV比率が低いということは、産業全体が遅れているということである。EVに変えるのは非常に大変であるが、遅れるほどさらに大変になっていくため考えないといけない。これは自動車メーカー1社の問題ではなく、国の対面の問題でもあり、国の人類に対する正義ということでもある。日本にいると本当にEVの時代になるのか疑問に思うことが多い。しかしヨーロッパやアメリカにいくと、そうした疑問は湧いてこない。当然EVになるだろう、でなければ本題の気候変動にはどう対応するのだと当たり前のこととして討議されている。 【変わる自動車と自動車産業、そして街】 自動車の生産と販売、つまり自動車産業が変わり始めている。水平分業型・産直型自動車生産として、できた自動車はその作られた地域で使うという取組がある。スイスのツェルマットは観光地マッターホルンの登山口の村で人口は6,000人、観光客は自家用車もバスも麓に全部駐車して、村内を走っているバスもトラックも村内で作られたEVであり、2つある工場において手作りで60年前から製作されている。似たものとして生協型自動車生産・販売では、注文が来たらそれを製作する。また国民自動車の復活としてシンプルなものに変わり始めている。生産方法についてもギガキャストと言って鋳造でフレームボディ作る流れが来ている。最初の頃のモデルはGMのオートノミーが2002年のデトロイトモーターショーでベストコンセプト部門の最優秀賞を受賞したものになり、これをテスラは鋳物で作った。キャストは鋳物のことでありそのギガだから特大のものである。テスラを筆頭にEV生産にギガキャストが導入されており、実は中国はもう採用している。トヨタも発表したが、実際生産に使われるのは2030年以降だと思う。 「さよなら欲望拡大社会」であるが、例えば衣服において日本はファッションの世界トップになろうとしているが、1990年の売れ残り衣料3.5%に対して2018年は53.8%になっており、ファッション業界が振り回されている。新品同様なものは選択してリサイクルのお店へ、駄目になったら生地を剥がしてまた違う形にするためのボックスが、最近駅に多く設置されているように変化は速い。 また、都市や街の形も変わってくる。ヨーロッパでは、都市大改革として今まで広かった道を狭くして公園などにしている。パリでは、セーヌ河岸の高速レーンが廃止され、遊歩道になった。また大通りにおける自転車レーンが拡大されている。「レピュリック広場」は道路のロータリーが広場に変身した。またシャンゼリゼ通りも4車線から2車線に変更されるなどのプロジェクトが進められている。スペインのバルセロナでもスーパーブロックプロジェクトとして碁盤の目状のバルセロナ市を構成する10地域中9地域に503もの歩行者と自転車専用のスーパーブロックが設けられる予定である。このように街も自動車中心の姿から大きく変わり始めている。